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半田裕のスポーツマーケティング考
スポーツマーケティング考 第19話 【ストーリー・テリング】
半田裕のスポーツマーケティング考

スポーツマーケティング考 第19話 【ストーリー・テリング】

STEAM人材たちが大切にするコミュニケーションツールに「ストリー・テリング」という方法があります。

目覚ましくテクノロジーが進歩し、機能や性能だけではビジネスの優位性を保てない時代に、企業や生産者に求められているのは、人々をはっとさせるようなストーリー(物語)です。

例えば、製品やアイデアが生まれたきっかけなどを、体験談や興味深いエピソードを用いて、わかりやすく相手に伝えるのです。

もはや数字だけで納得しない社会で、ストーリーは人の心をつかむ大きな力を持っています。

STEAM人材は「デザイン思考」と呼ばれるデザイナーの方法論を駆使して発送・活動を行っています。

人間を大切にする「ヒューマニスト」であり、「イノベーター」であり、「デザイナー」である。いわば3つの顔をあわせ持つ者、

これが著者たちが考える究極のSTEAM人材の本質です。

STEAM人材を突き動かすのは、ほかでもない人間愛なのです。

デザイン思考を実践する人は、ユーザーに寄り添って発想する

世界を変えるSTEAM人材より

近年、世界の多くの企業や教育機関で、アートやデザインが重要視されていることをご存知でしょうか?

2010年からの5年間に、グーグル、フェイズブック(現メタ)、アドビ、といったシリコンバレーの大手は、デザイナーを創業者とするスタートアップの企業を、27社も買収しています。

また、アクセンチュアやマッキンゼーと言ったコンサルティングファームや会計事務所のデロイトなど、従来はデザインと縁がなかった異業種大手も、積極的にデザイン・ファームの買収に乗り出しています。

ビジネスの世界では、以前はMBA(経営学修士)が重要視されていましたが、現在は芸術系の専門学校を卒業したり、

MFA(芸術学修士)を取得した人材が重宝されているといいます。

また、必須とされていた論理的思考(ロジカル・シンキング)や批判的思考(クリティカル・シンキング)に代わって、

デザイン思考(デザイン・シンキング)の能力が注目されています。

これまでに無い発想で、革新的なアイデアをもたらす人材が求められているのです。

21世紀に入り、機能性や効率を優先するアプローチが限界を迎え、企業は新たな方法を模索しています。

そこで注目されているのが、アートとデザインという領域と言う訳です。

STEMにAが追加され、STEAMとなった背景はこのようなわけですが、

私達がSTEAMを捉える上で最も重要だと考えている点は、そこに通底する「人間を重視する」という思想・行動の原理です。

本書では、これを21世紀の新しい「ヒューマニズム」(一般医「人間主義」「人文主義」などと訳されます)と呼んでいます。

言い換えれば、STEAMが目指しているのは「人間を幸福にする」ことなのです。

ここでも、テクノロジーとリベラルアーツの交差点にたち、

人々が求めるモノ、サービスを提供し、人々を幸せにする。とあります。スティーブ・ジョブスもイーロン・マスクも同じ根本思想があり、この書籍で紹介されている、ジョン・マエダ、ヨーキー・マツオカなども非常に興味深い人たちであります。

※世界を変えるSTEAM人材とは ヤング吉原麻里子、木島里江の著 より