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半田裕のスポーツマーケティング考
スポーツマーケティング考 第21話 【アルベルト・トンバ(トンバ・ラボンバ)の異名をもつイタリア人のアルペンスキーヤー】
半田裕のスポーツマーケティング考

スポーツマーケティング考 第21話 【アルベルト・トンバ(トンバ・ラボンバ)の異名をもつイタリア人のアルペンスキーヤー】

アルベルト・トンバ

【トンバ・ラボンバ】の異名をもつイタリア人のアルペンスキーヤーだ。意味は爆弾野郎トンバというような意味でしょう。

やはりIMG時代にウインタースポーツ担当だった私は自動的にトンバの担当になりました。その頃西武グループの堤さんがウインタースポーツ界で強烈な力を持っていた関係でしょうか、当時スキーのワールドカップや世界選手権が盛んに日本で開催されていた。そんな関係で何度か来日するトンバと会った。

日本での契約はいくつかあったけれど、大きなものはPIAAとの契約だ。

PIAAが製造販売するスキーキャリアの【TERZO】との肖像権契約だ。

PIAAはもともとは車のランプやホイールの会社だったのが当時のY社長の積極的な経営スタイルでスキーキャリヤや時計や高級アパレルなど商品レンジが爆発的に伸びていた。

そういえば、PIAAの直営店もよくプリンスホテルの中にありましたね。

トンバとは2回会った。

1回目は雫石のワールドカップだった。新幹線で盛岡まで行って駅を降りて、会場の雫石プリンスホテルまでどうやって行こうかなと考えていたら、ちょうど雫石プリンスホテルに行くシャトルバスが止まっていた。よし取りあえずこれで行こう。とバスに飛び乗った私はトンバと会う前にキチンと前情報をつかんでおこうとスキーの専門誌を広げていたわけです。するとふと気配を感じて振り向くと外人(たぶんイタリア人)が後ろの席から私が見ている雑誌のトンバの写真を指さして「トンバ、トンバ」と喜んでいるわけです。イタリア語でなんか叫んでいるんですが、たぶん「お前もトンバファンか!!ヨシヨシ」みたいな感じです。振り返るとバスの後部座席は20人ぐらいの同じようなイタリア人が山のようにいました。

どれだけヨーロッパの山奥で大会があっても山のようなファンが彼を追っかけていると、まさに持っていた雑誌で読んだところだったので、この人らはイタリアから日本の雫石まで応援に来ているんだと感心したわけです。

その後、トンバと会う約束をしている雫石プリンスホテルのロビーで待っているとしばらくして独特な排気音を響かせながらホテルの車寄せに銀色のアルファロメオが飛び込んできたのです。。トンバと彼の個人マネージャーが乗っていた。

そんで車に乗れと言われて、一緒に移動したところはゲレンデに近い大きな山小屋だったわけです。ヒュッテのドアを開けて一緒に中に入ると、山のような人たちがそこにいて、良く見るとみんな外人(たぶんイタリア人)で昼間からお酒を飲んで楽しそうに大騒ぎしています。ほぼすべてトンバの応援団のようでした。

するとその中から「お~~~お前も来たか!!」という感じでさっきバスで一緒だったオヤジも出てきて大盛り上がりをした記憶があります。

そのあとにまたびっくりしたのは、トンバのいるトンバルームは山小屋を突き切った扉を開けてその先にある大きなキャンピングカーが停まっていて、そこがトンバルームだったのです。中に招き入れられ、さあ仕事の話をと言いますと、白髪の貴族のような風貌のトンバの個人マネージャーが「あせるな。時間は十分ある、まずはワインを飲め」とか言われまして、昼の日中から赤ワインを飲まされ、あげくには「お前メシ食ったか?」とか言われまして帯同してきている私設シェフの創る豪華な遅めのランチをごちそうになった次第です。やはりトンバクラスになるとスキー連盟および個人の財力もあるのか、世界中のどこのスキー場にいっても生活のスタイルは変えないのが普通なんだと思った事を覚えています。

これが一回目のエピソード。

2回目に会ったのは北海道の富良野です。

今回は重要なミーティングで長野オリンピックまでの長い契約をPIAAさんとの間で交わしたくて、PIAAのY社長にもわざわざ富良野まで来ていただき、トンバと会わせる手はずだったわけです。

前日大阪であった仕事済ませて、一路空路札幌へ、千歳空港に着いたのが午後7時過ぎそして札幌駅に出て、滝川でJRを乗り継ぎ、なんだかんだで富良野に着いたのは午後11時過ぎです。トンバの泊ってる宿に一度挨拶に行ったけど会えずじまいで打ち合わせができず、いきなり当日を迎えました。

チョット緊張しています。トンバは朝から予選会もあり早々にゲレンデに出かけており、その朝も会えずじまいです。

私は富良野のゲレンデでY社長と待ち合わせの場所に向かいます。

予定どおりトマムリゾートからY社長は到着です。

ご一緒にゲレンデのほうに歩いていき、皆さんで、まずはトンバの予選レースを観戦しましょうと言う事になりました。

天気も快晴でY社長もご機嫌でした。

よしよしと思っていたら、ゲレンデの上のほうからトンバがスキー担いで降りてくるではありませんか?

「あれ??あれはトンバじゃないの?」とY社長、「はあ~~トンバですね」と私。

この時間でスキー担いでここまで下りてくる理由はただ一つ。予選落ちです。

「なんじゃ、そりゃあ!!」という感じですが、、、気を取り直した私の一言は、

「社長、今日はついてますよ。これでゆっくりトンバと契約の話ができる時間ができました」 Y社長は怒る前に「そう?!そうかぁ~」というご返事で、無事契約更改のお話が進んだというエピソードです。

「Tomba la Bomba」 最高の男です。