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半田裕のスポーツマーケティング考
スポーツマーケティング考 第30話 【論理・理性・サイエンス・ロジック 対 直感・感性・アート・マジック】について
半田裕のスポーツマーケティング考

スポーツマーケティング考 第30話 【論理・理性・サイエンス・ロジック 対 直感・感性・アート・マジック】について

論理と直感、理性と感性、サイエンスとアート、もしくはロジックとマジックというワードであります。これまでのような「分析」「論理」「理性」に軸足を置いた経営、いわば「サイエンス重視の意思決定」では、今日のように複雑で不安定な世界においてビジネスの舵取りをすることはできないといわれてきています。著名な経営者に話を聞くとこう言います。

1.論理的・理性的な情報処理スキルの限界が露呈しつつある。

  シックスシグマの限界です。多くの人が分析的・論理的な情報処理能力を身に着けた結果、世界中の市場で発生している

  「正解のコモディティ化」という問題です。市場は複雑化の一途をたどります。そのようなマーケットでは全体を直感的に捉える感性と「真・善・美」が感じられる打ち手を内省的に創出                          する構想力や創造力が求められます。

2.世界中の市場が「自己実現的消費」に向かいつつある。

  人間の欲求はもっとも低位な「安全で快適な生活がしたい:生存欲求」から始まり「集団に属したい:帰属欲求」、「他者から認められたい:承認欲求」、最終的には「自分らしい生き方をしたい:自己実現欲求」へと向かいます。

ゆえに人の承認欲求や自己実現欲求を刺激するような感性や美意識が重要になります。わかりやす

く言うと、Mac Bookをもってその横にI phoneを置き、スターバックスで朝の8:00から過ごす自分を演出するためにAppleの製品やスターバックスでコーヒーを飲むというわけです。

 Tom Petersもかく言います。

 「偉大なるブランドは感情に訴える。全てとは言わないまで

  も、私達が下す決断の多くは感情に左右される。ブランドは

  人の心を強く揺さぶる。製品の機能より大切なもの、それは

  心の接点なのだ」

3.システムの変化にルールの制度が追いつかない状況が発生している。

ライブドア・DeNAや、最近では日産自動車です。システムの変化に法律の整備が追いつかないという現在のような状況においては、明文化された法律だけをよりどころにせず、自分たちなりの「真・善・美」の感覚、つまり「美意識」に照らして判断する態度が必要になります。

③はともかくとして①、②について言えることがあるとすれば、現状分析、市場分析、競合分析を徹底的にして、出てきたマーケティングの解だけでは、市場で勝てないということです。

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営におけるアートとサイエンス 山口周より