トップ
半田裕のスポーツマーケティング考
スポーツマーケティング考 第12話 【世界を変えるSTEAM人材とは?】
半田裕のスポーツマーケティング考

スポーツマーケティング考 第12話 【世界を変えるSTEAM人材とは?】

日本では人文領域をさす「文系」の対語として「理系」という言葉が定着しています。

しかしSTEAMと「理系」は似ているようで実は異なる概念です。

技術やエンジニアリングが含まれているから、「理数系」「理工系」と訳せばよいかといえば、それも正確でないでしょう。

複数の領域の頭文字を取った名前なので、どうしてもそこに掲げられている各分野、領域に目が行きがちですが、理数系分野を重視することや、芸術・人文を含めた広い領域を対象にしていると言う点は、STEM、STEAMの特徴の一つでしかありません。

STEAM教育は、単に特定の科目を重点に学ぶことを指すのではなく、融合によるシナジー(相乗)の効果によって、それらの領域における学びをより活性化させよう考え方を含んでいます。

STEMからSTEAMへの流れを捉える上で、さらに重要なのは、本書がSTEAMの「目的」であると考えている「人間を重視する」という思想・行動の原理、すなわち「ヒューマニズム」(一般に「人間主義」「人文主義」などと訳される)です。

実は、STEAMにおいて、STEMとアートを融合すると言うこと自体は、手段ないし結果にすぎません。STEAMが目指しているものは何かというと、それは「人間を幸福にすること」なのです。

デザイン・コンサルティングで世界をリードしているIDEO(アイディオ)は今後のビジネスで重要なのは、

「経済的実現性」「技術的実現性」「人間にとっての有用性」という3つの要素のバランスを取る事だとしています。

世界を変えるSTEAM人材より

STEAM人材たちが大切にするコミュニケーションツールに「ストリー・テリング」という方法があります。

目覚ましくテクノロジーが進歩し、機能や性能だけではビジネスの優位性を保てない時代に、企業や生産者に求められているのは、人々をはっとさせるようなストーリー(物語)です。

例えば、製品やアイデアが生まれたきっかけなどを、体験談や興味深いエピソードを用いて、わかりやすく相手に伝えるのです。

もはや数字だけで納得しない社会で、ストーリーは人の心をつかむ大きな力を持っています。

STEAM人材は「デザイン思考」と呼ばれるデザイナーの方法論を駆使して発送・活動を行っています。

人間を大切にする「ヒューマニスト」であり、「イノベーター」であり、「デザイナー」である。いわば3つの顔をあわせ持つ者、

これが著者たちが考える究極のSTEAM人材の本質です。

STEAM人材を突き動かすのは、ほかでもない人間愛なのです。

デザイン思考を実践する人は、ユーザーに寄り添って発想するのです。

世界を変えるSTEAM人材より

スポーツ界における人材育成にも生かせる興味深い視点であると思います。

人間を大切にする「ヒューマニスト」であり、「イノベーター」であり、「デザイナー」である。いわば3つの顔をあわせ持つ者。